上極限と下極限について定義の式を見ただけでは全然意味がわからなかったです。いろいろ調べてみたんですが、結局ルベーグ積分30講の解説を読んで
xが$A_n$の下極限に含まれる$\Leftrightarrow $ある$n_0$が存在して$n \geq n_0 \Rightarrow x\in A_n$
xが$A_n$の上極限に含まれる$\Leftrightarrow$どんな$N>0$に対しても$n>N$かつ$x\in A_n$を満たすnが存在する
ということだと理解しました。下極限のほうがわかりやすかったので下極限、上極限の順になってます。
定義式を最初に見たとき変な形の式だなと思ったので、式的な意味でも理解しておくべきかと思い式を眺めていたら上極限と下極限を導入した経緯について自分なりに納得できたので以下にメモ。
以下は私が勝手に考えただけなので間違ってるかもしれません
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
集合列$\{A_n\}$、$A_1, A_2, A_3, ...A_n, ...$
について、この集合列の極限$\lim_{n \to \infty}A_n$を考える。
$A_n$は任意の集合列であるので、そもそも極限が存在することも定かではない。
そこで、先ずは極限が存在することがわかっている単調増加/単調減少の数列を出発点とする。
$B_n$を単調増加の数列、$C_n$を単調減少の数列とすると、これらの極限は
\begin{eqnarray}
\lim_{n \to \infty}B_n=\bigcup_{n=1}^{\infty}B_n
\\
\lim_{n \to \infty}C_n=\bigcap_{n=1}^{\infty}C_n
\end{eqnarray}
となる。このように単調増加/単調減少の数列ならば極限を考えることができるので、$\{A_n\}$をもとに単調増加/単調減少の数列を作り、それらの極限を考えることにする。
$\{A_n\}$をもとに単調増加の数列を作る。
\begin{equation}
B_k=\bigcap_{n=k}^{\infty}A_n
\end{equation}
は単調増加の数列である。$B_k$は$\{A_n\}$をn=kから無限大の積集合なので、kが大きくなるほど積をとる対象が少なくなるため、$k\leq l\Rightarrow B_k \subset B_l$となるのである。
$\{B_k\}$の極限を考える。
$B_k$は単調増加の集合列なので上の式より
\begin{equation}
\lim_{k \to \infty}B_k=\bigcup_{k=1}^{\infty}B_k
\end{equation}
である。この式は
\begin{equation}
\lim_{k \to \infty}B_k=\bigcup_{k=1}^{\infty}B_k=\bigcup_{k=1}^{\infty}\bigcap_{n=k}^{\infty}A_n
\end{equation}
となる。この、$A_n$をもとして作った単調増加の集合列$B_k$の極限を$A_n$の下極限と定義する。
\begin{equation}
\lim_{k \to \infty}B_k=\bigcup_{k=1}^{\infty}B_k=\bigcup_{k=1}^{\infty}\bigcap_{n=k}^{\infty}A_n\equiv \varliminf_{n \to \infty} A_n
\end{equation}
下極限は以上のような手順で作ったため、$A_n$がどのような集合列であっても下極限は存在する。
単調増加列の場合と同様に単調減少列
\begin{equation}
C_k=\bigcup_{n=k}^{\infty}A_n
\end{equation}
を作り、その極限を上極限と定義する。
\begin{equation}
\lim_{k \to \infty}C_k=\bigcap_{k=1}^{\infty}C_k=\bigcap_{k=1}^{\infty}\bigcup_{n=k}^{\infty}A_n\equiv \varlimsup_{n \to \infty} A_n
\end{equation}
こちらも$A_n$がどのような集合列であっても存在する。
これら$A_n$をもとに作った2種類の極限が一致するとき、それを$A_n$の極限と呼ぶ。
\begin{equation}
\varlimsup_{n \to \infty} A_n=\varliminf_{n \to \infty} A_n \equiv \lim_{n \to \infty}A_n
\end{equation}